3.物理モデル
キャリア輸送方程式、超格子ヘテロ構造に対しPoisson方程式とSchredinger方程式のセルフコンシステント解法が使われます.
Poisson方程式によるバンド構造計算:
- 自発分極とピエゾ分極が考慮されます.
- キャリア濃度は量子効果を考慮し計算します
- 超格子周期中の電気伝導度は両端にて境界条件として使われます.電流-電圧(I-V)特性
キャリア濃度の量子論的記述
- 短周期超格子では電子、重空孔、軽空孔、及びスプリットオフ空孔は有効質量近似にて記述されます.
- 量子井戸中の局所的キャリア状態はSchrodinger方程式の数値解にて求めます.
- 量子井戸とミニバンド生成のカップリングは強結合近似(TBA)にて取り扱います.
キャリア輸送と再結合
- 超格子へテロ構造のキャリア輸送は離散ドリフト・拡散モデルにて記述されます.
- バンド間輻射再結合は電子・空孔波動関数の重なりを考慮し、個々の量子井戸内で計算されます.
4.シミュレーション例
4.1 アクセプタイオン化効率
AlGaN混晶中の高アクセプタイオン化エネルギー、及びp-型層の低電気伝導度は窒化物デバイスの良く知られた問題です.MgドープのGaN/AxGa1−xN超格子は価電子バンド変調により、同じ平均組成のAlGaN層より高い空孔濃度を有すとされていますが、空孔濃度は超格子構造に大きく依存します.BESSTパッケージによる計算は実験値と良好な一致を示しています.
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Fig-2 青線:計算値 赤四角:実験値(P. Kozodoy et al. Appl. Phys. Lett., 74, 3681 (19999))
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4.2 SPSL based UV LED
近年、異なるSPSL間のp-n接合を持つ様々なUV LEDが提案されています.特にn-、p-ドープのSPSLクラッディング層より長い周期巾の量子井戸を有すi-SPSL活性領域は、n-、p-SPSLのみからなるLEDに比較し、輻射強度が増加する事が示されています.実際、このようなp-i-n LEDは従来のダブルへテロ構造と同様の役割をします.長周期巾の量子井戸を持つSPSLのバンドギャップは、クラッド層のバンドギャップより狭く、活性領域内でのキャリアの局在化を誘起し、高い内部量子効率を得る事ができます.
以下にp-n、及びp-i-p Al0.1Ga0.9N/AlN SPSL LEDのバンド構造、キャリア濃度分布を示します.前者のSPSLバリア巾は1nmに対し、後者のDHS活性境域の量子井戸巾は1nm、n-、p-クラッド層の周期巾は0.5nmです.不純物濃度はn-、p-領域共に1.0x10
19cm
-1です.
Fig-3 バイアス値、4Vにおけるp-n SPSL LED(左)と
p-i-n DHS SPSL LED(右)のバンド構造と電子濃度
バンド構造はSPS構造とバルク構造では極めて類似したバンド構造を有します.平均電場がp-n接合内部電場と逆方向であるダブルへテロ構造活性領域界面には有効表面電荷が形成されます.このような現象は従来の単一量子井戸型 InGaN LEDへテロ構造においてSQW界面の分極電荷を伴う典型的な現象です.p-n SPSL接合の場合、n-、p-双方のSPSL中の等しい巨視的分極のため表面有効電荷は観察されず、p-n SPSL LEDは通常のp-n接合ダイオードに極めて類似した挙動を示します.
5. ユーザインターフェース
ユーザインターフェースは以下の機能を有します.
- 全ての入力データの設定:ヘテロ構造、物性、オプション他
- 計算会話的制御
- 専用可視化ツールによる結果の可視化.
BESST 2.0はTecplotグラフィックパッケージフォーマット、又はテキストファイルにて結果を出力します.

Fig-4 超格子構造は超格子領域の配列にて入力されます

Fig-5 超格子の電子構造.ミニバンドの波動関数は対応するチェックボックスにて表示・非表示にできます.ミニバンドの主要パラメータは下部に表示されます.
7.推奨システム
本コードはシミュレーションに必要なIII族窒化物物性データベースを内蔵しています.データベースの追加・変更も可能です.
- OS Windows 98/2000/ME/XP
- RAM 256MB
- ディスク容量 BESSTプログラムファイル(2MB)、計算結果ファイル(1MB)
- ハイカラーモード、1024x768解像度をサポートするディスプレイ、ビデオカード
- マウス