ウェブ更新履歴
- 2012年9月 : 論文リストの更新
- 2011年9月 : CVDSim SiC Edition 新機能のご紹介
- 2011年7月 : CVDSim Nitride Edition Add-on for CFD-ACE+ 新機能等のご紹介
- 2011年2月 : CVDSim HVPE, SiC 及び Si Edition のご紹介
製品情報
CFD-ACE+ 自身にも,論文等で知られている幾つかの反応モデルが標準装備されていますが,CVD の反応は非常に複雑な為,製造プロセスで必要となる全ての反応モデルが準備されているわけではありません.また,シミュレーションの結果は,多くは簡易な実験装置と比較したもので,実際の製造装置と比較・検討されているとは限りません.
一方,CVDSim の反応モデルは,STR及び協力する企業や大学において,実験結果との比較をお客様と一緒に行いつつ,反応モデルとしての妥当性を吟味した後にリリースされます.また,必要に応じて,気相中で生成されるクラスターの生成や寄生成長を考慮することにより,より現実的な気相・表面反応モデルとなっており,その成膜種も豊富です.
これらの研究成果・事例は,以下の開発元STRのホームページより入手できます.
CVDSim Success Stories
日本語の資料もございます.“お問い合わせ”のページ内のメールアドレスまでご連絡下さい.
CVDSim の Module は,現在,以下の5種類をご利用頂けます.
1. Nitride Edition
Nitride Edition は,III族の窒化物に対する有機金属気相エピタキシャル成長(MOCVD)をシミュレーションする為のモジュールです.
標準的なプリカーサー (トリメチルアルミニウム(TMAL),トリメチルガリウム(TMGa), トリエチルガリウム(TEGa),及び トリメチルインジウム(TMIn) )とアンモニア(NH3),キャリアガスとして H2, N2を用い,GaN,AlN,AlInN, AlGaN,InGaN,及び p-GaN の成膜をカバーしています.
反応モデルは,温度が低い反応律速の領域から拡散・脱離律速までの広い温度領域をカバーします.更に,気相中のナノパーティクルの生成やリアクター内壁の寄生反応,III族組成についても考慮されています.
2. III-V Edition
III-V Editionは,III-V族の有機金属気相エピタキシャル成長(MOCVD)をシミュレーションする為のモジュールです.
トリメチルアルミニウム(TMAL),トリメチルガリウム(TMGa), トリエチルガリウム(TEGa),及び トリメチルインジウム(TMIn) 等の標準的なプリカーサーとAsH3 (アルシン)・PH3 (ホスフィン),キャリアガスとして H2 を用い,GaAs,AlGaAs,InP,InGaP,InGaAs,及び,InGaAlP 等のエピタキシャル成長をカバーします.
更に,GaAs,InP,Ge基板上に成膜した化合物の不整合歪みの効果,及びリアクター内壁の寄生反応も考慮することが出来ます.
3. HVPE Edition
HVPE Edition は,ハイドライド気相エピタキシャル成長法(HVPE)によるGaN, AlN, AlGaN 結晶成長をシミュレーションする為のモジュールです.
H2/N2 をキャリアガスとし,液体 Ga 又は液体 Al に HCl を供給して原料ガスを生成する反応,及び生成したガスと NH3 からの成膜反応を対象としています.キャリアガスとして,Ar を用いることも可能です.リアクター内壁の寄生反応も考慮できます.
4. SiC Edition
SiC Edition は,SiC の化学気相成長(CVD) を目的としたモジュールです.ガスは,水素(HTCVD の場合は Ar 又は He も利用可能)で希釈したSiH4 (シラン)や SiCl4 (四塩化シラン), TCS (トリクロロシラン), DCS (ジクロロシラン) と,C3H8 (プロパン)を考慮しています.
反応モデルの適応温度範囲は、1400〜2200℃と広く、CVD法及びHTCVD法に対応しております.成膜反応だけではなく,成膜速度に影響する気相中のパーティクル生成とその輸送及びリアクター内壁の寄生反応や塩素を含んだガス種のエッチングについても考慮されています.
5. Si Edition
Si Edition は,Cl プリカーサー(TCS,又は DCS)からの Si の化学気相成長(CVD) をシミュレーションする為のモジュールです.
表面反応モデルは,拡散律速を対象としています.
各反応の素反応を全て考慮しようとすると,非常に数多くのステップが必要になりますが,CVDSim の反応モデルは,重要なパスに絞りセレクトすることにより,必要となるステップ及びレートコンスタントを考慮します.その結果,計算時間も比較的短い時間で済むことになります.
関連論文リスト
開発元STR、関連機関、ユーザーから発表された論文のリストです.
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サポートサイト
CVDSim を使用する際の便利な情報 (Tips)、チュートリアルなどをまとめています.
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開発元
Semiconductor Technology Research(STR)社
本社 : ロシア(STR Group Ltd.,)
事業所 : ドイツ(STR GmbH,),アメリカ(STR, Inc.)
解析モジュール
以下に,モジュール毎にもう少し詳しくご説明致します.
※各図はクリックで拡大できます。
1. Nitride Edition
例:GaN 成膜プロセスの気相反応モデル
比較的低温では,TMGa はアダクトを形成しますが,温度が高くなるにつれて,TMGa に戻り,分解が進みます.メチル基の遊離やアンモニアの分解物(NH2ラジカル)の反応を経由し,気相で GaN が生成され,これがパーティクル核を形成します.この様に CVDSim では,成膜に寄与する原料ガスの分解物の生成,及びパーティクル生成に重要なプロセスを抽出した,独自の反応プロセスを使用しています.
以下は,レーザースキャッタリングによる基板近傍のパーティクルの写真の例です.上部の赤い領域が高温に熱せられた基板であり,その下に出来たパーティクルの層(赤色の筋状)を捉えた写真です.
GaN,AlN,及び,InN 等のプロセスにおいて,このようなパーティクルの形成が知られています.一般的に,パーティクルの生成が多いほど成膜速度は低下する傾向があります.
CVDSim のパーティクル生成モデルでは,パーティクルを質量の重い分子の疑似ガスと仮定し,拡散による輸送を考慮しない代わりに,対流と熱泳動(thermophoresis)による輸送を考慮します.CFD-ACE+ の中では,ユーザースカラー (user scalar) の機能を用いることで、パーティクルの成長や輸送を流れ (Flow),熱 (Heat),及び気相反応や表面反応 (Chemistry) と連成して解くことができます.
表面反応モデルは膜種によって異なりますが,QT (Quasi-Thermo Dynamic) モデルと呼ぶ準熱平衡モデルと,速度論 (Kinetic) モデルを考慮しています.準熱平衡モデルは,主に供給律速の温度域に使用する反応モデルです.反応速度は,付着係数で考慮されており,三元系の化合物における基板との格子不整合による歪の効果や,温度依存の結晶の結合エネルギーなどによる成膜反応への影響が考慮されます.一方で,GaN, AlGaN については,キャリアガスである H2 によって,結晶のエッチングが生じる高温領域に対応した反応モデル,速度論(Kinetic)モデルが用意されています.
更に,寄生反応(parasitic deposition)を考慮し,基板上に成膜したい膜以外の付随的な成膜を考慮します.この寄生反応は,クラスターの生成と同様,リアクター内壁における原料ガスのロスを意味し,成膜種だけを考慮した反応モデルよりも,より現実的なモデルとして必要な要素の一つとなっています.
以下に,CVDSim を用いて計算・比較した結果の幾つかをご紹介します.
このグラフは,基板を載せたディスクが回転するタイプのリアクターに関し,ディスクの回転速度に対する GaN 及び,AlN の成膜速度を比較したものです.各 transport limit は,導入したガスの流量や動作圧力から予想される最大効率に相当します.GaN の場合,回転数を上げるにつれて,予想される効率に近づくことが分かりますが,AlN の場合,気相中で生成されるクラスターとしてロスする割合が GaN の場合よりも大きく,ディスクの回転数を上げても,成膜レートを期待したほど高くすることは難しいことが分かります.
このグラフは,TMGa の流量に対する成膜速度を示したもので,流量を増やしても,成膜速度は線形にならない結果を示しています.パーティクルの生成のみならず,寄生反応の影響が無視出来ない為であると考えられています.以下に,寄生反応の成膜速度分布の結果を示します.
この結果から,ガスの流し方によって,膜中に含まれる Al の割合は異なることが分かります.inverted inlet の例では,気相中のクラスター生成による Al のロスが影響していると考察されています.
以上のように,CVDSim を CFD-ACE+ と組み合わせて用いることにより,プロセス条件や装置構成を検討する上で非常に有用な情報を得ることが可能なことが分かります.
2. III-V Edition
例えば,以下のような装置( AIX 2400G3 ( 5x4" ) Planetary Reactor )による比較を見てみます.
回転する基板のセンターライン上における AlGaAs の成膜速度は,計算と実験の結果を比較しても誤差は5 %以下となっています.InGaP の成膜モデルでも同じ傾向がみられ,計算と実験結果の誤差は5 %以内におさまっています.回転する基板上における InGa 中の In の含有率においても,計算結果は実験データをよく再現していますが,ウエハーエッジの結果のみエッジ効果のため,わずかに実験結果とのずれが生じる傾向にあります.
3. HVPE Edition
以下に,横型炉の HVPE についての計算と実験結果を検討した例を示しています.
He あるいは N2 雰囲気下での温度に対するGaN の成膜速度を示していますが,計算と実験データがよく一致しています.
各化学種の流量に対する GaN の成膜速度をみてみると,計算結果が定量的に実験データを再現しています.特に計算では,GaCl と NH3 の流量に対する成膜速度の依存性が反映されており,これは,脱離する化学種の流量が大きく影響していると考えられます.
GaCl のウエハへの供給および GaCl と NH3 の混合をスムーズにするために,ガスを別々のインジェクターから供給してウエハ上で混合する,横型でウエハが回転するタイプの反応炉の概要及び解析例を以下に示します.
上段のコンターは,ウエハ上の X/V 比率および GaN 成膜速度分布を示しています.不均一な分布となっていますが,下段の図にあるように,左右対称な放射状の分布はエピ層の質に有利に作用し,ウエハの回転によってかなり滑らかな分布となることが期待されます.
4. SiC Edition
SiC CVD
以下は,次に示すような横型反応炉において比較した事例です.
グラフは,サセプタのセンターライン上における SiC の成膜速度を表しています.成膜速度の傾向は,実験データをよく再現しています.
このモデルは,比較的パーティクルが生成しにくい条件のため,パーティクル生成による影響は見られておりません.パーティクル生成による影響が大きい炉の代表として,次の自公転型反応炉 (VP2000 (5×3") Planetary Reactor) の例をご紹介します.
これは,生成したパーティクルの密度分布を表しています.CVD SiC では,Si パーティクルを仮定していますが,Si パーティクル生成に関与するガス種は核となる Si 蒸気だけでなく,SiH, SiH2 が Si パーティクル表面と反応することにより,パーティクルの成長が促進されます.特に,自公転型の反応炉では,生成した Si パーティクルと SiH, SiH2 との相互作用によるパーティクルの成長が重要なプロセスとなります.生じたパーティクルによるシリコン (Si) のロスにより,次に示すグラフの様に成膜速度が低下します.
SiC HTCVD
HTCVD のモデルでは,特に部材表面におけるエッチングを考慮できます.以下に,逆よどみ流型反応炉(下図の左)での解析例を紹介します.
上図の右側は,C の主な供給源である,アセチレン(C2H2)の質量分率分布を示した図です.原料ガス導入口付近のプロパン(C3H8)の分解によって生じたアセチレン(C2H2)以外にも,赤枠で囲んだ壁面付近で濃度が高い領域が存在していることが確認されます.これは,グラファイト壁面のエッチングによって生じたアセチレン (C2H2)です.この様な部材からの C の供給は, SiC の成膜に大きく寄与します.
以下は,四塩化ケイ素(SiCl4)流量一定下で,プロパン(C3H8)流量を変更した時の成膜速度の変化を示したグラフです.
この様に,グラファイト壁のエッチングを考慮することで,プロパン(C3H8)の供給が無い時でも,SiC 成膜が生じることが予測できます.
5. Si Edition
流入してきた原料ガスは,流れと拡散によりウエハ面上に導かれ,Si が成膜します.下流に向かうにつれ,成膜によって原料ガスが消費され,徐々に原料ガスの質量分率が低下していく様子が確認されます.
これは,ウエハ面上で得られた成膜速度の分布です.センターライン上における Si の成膜速度の傾向は,実験データをよく再現しています.
また様々な温度及び流量範囲においても,得られる成膜速度は実験データを再現できています.


























