設計実務を支援する最適化システムです。
多変量(多変数)の設計変数と実規模のメッシュ数の FEA , CFD を用いたCAEのパラメータの最適化を主目的としたソフトウェアです。
解適合型の応答曲面法とニューラルネット法を用いて、大域解の迅速な把握と極値検索の高速化を行い、多峰性の問題の解決を図っています。
関連用語
- SO(self-organization、自己組織化)
- 微視的には単純化された局所的な計算モデルを用いて、相互作用をランダムに繰り返す事に依って複雑な物理現象を巨視的に再現するボトムアップ型のシミュレーション技法です。
von Neumannから始まった複雑系[3]のソフトコンピューティング(計算認知科学)には多くの手法が登場しました。例えばCA(セルラ・オートマトン)[3]、LGB(格子ガス・ボルツマン法)、AL(人工生命)は、SOの概念が基礎となっています。
巨視的な境界条件に適合し得た個体の群挙動が境界条件をも変えて行き、フィードバックして更に複雑な現象を創発します。「群知能」の概念です。
渦糸の合体・分裂、乱流の発生機構、液体の沸騰の機構、 多結晶・偏析の成長、カオス等の複雑系[3]、魚の群泳、昆虫の群挙動、等を想定すればSOが感覚的に分かり易いと思います。 (上記の沸騰の機構とは、
『核沸騰 ⇒ 気泡の成長 ⇒ 気泡の合体 ⇒ 分裂⇒ 熱伝達係数の変動 ⇒ 熱フラックスの変動 ⇒ 核の成長にフィードバック』、等です)SOM(Self Organization Map) [1],[2]は類似の用語ですが、多変数・多目的問題の可視化を除いては、IOSOのアルゴリズムに直接には関係致しません。 Kohonen教授が提唱する可視化の方法です。
- NN(neural net)法
- SO(Self-Organization)を具体化するアルゴリズムです。有限個のデータ群のネット結合から新しいデータ群を生み出し、最適な方向ベクトルを探索し、次段の情報回路へ進みます(多層ネット法:MLP:Multi Layer Perceptron)。この「組合せ(交配、交差:cross)」操作は、間接的にランダムな性質を発生させます。
News-Letter第1号§1,[1]「概説」でIOSOを「確率論的手法」に分類した理由です。IOSOのNN法はデータの直接の進行はFF(Feed Forward)の情報伝達方式です。
ソフトコンピューティング(計算認知科学)のNN法を特徴付ける重要な概念にBP(back propagation:学習情報のFeed Back)が有りますが、IOSOはFF方式で伝達し計算機内部で学習のプロセスを反復計算します。
- RSM(Response Surface Method: 応答曲面法)
- IOSOのIndirect Optimizationの具体的なツールです。パラメータ群の統計的な処理方法です。簡単な説明としては、回帰分析法の利用とお考え下さい。
- Direct call, Indirect
- IOSOでは、目的関数を直接計算する事をDirect callと言います。例えば CFDを1ケース計算する毎にDirect call number に累計されます(News-Letter第1号,§1, 図5-1〜図5-4を御覧下さい。)。
SIGMA社のプレゼン資料の図のキャプションにはMM(Mathematical Mode)と略記される例もあります。補間ではなくCFD,FEM等の数学モデルをcallした回数の意味です。
Indirectとは、目的関数を毎回はDirect call計算せず、推算の範囲ではRSM(応答曲面法)を用いて、計算済みのDBからカーブ・フィッティングに依って補助計算をします。計算負荷が大きいCFDの最適化では、この方法は効果的です。
- RBF法(Radial Basis Function)
- CFDの粒子法、衝撃解析のSPH法を含め、計算力学の多くの分野に登場します。着目点の(影響範囲の円内)近傍で物理量に放射対称型、例えばGauss分布などを仮定し、この基底関数形の応答を重畳して解析領域全体をフィッティングするものです。RSMに用います。
参考文献: 放射基底関数-wikipedia
URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/放射基底関数 - GMDH法(Group Method of Data Handling)
- SIGMA社のサイトにはこの用語が登場します。IOSOのコンセプトにはGMDH法を参考にしたようです。
Polynomial Neural net法、Artificial Neural net法、Statistical Learning Networks(stochasticとは言っていません)、「品種改良のアナロジ」、「変数組合せ計算法」、「非線形モデルの階層構造の自動決定法」等の解釈があります。 IOSOのアリゴリズムを理解するには重要な概念ですが、ユーザは此の知識を直接には必要としません。
(引用-1: The main point for this method of multimeasure optimization is the process of penalty function approximation. This process is based on the inductive self-organization method of A.G.Ivakhnenko(出典:ICOTA.pdf))
- 設計変数、目的関数、制約関数(制約条件)など
- 最適化は多くの分野で発展して来ました。本稿に記載されている各種の用語の他に、関連する類語として、文献には; 説明変数、(モデル)評価関数、cost-function、被説明変数、拘束条件、target function、goal function、Goal seeking(1次元の最適化) 等が登場します。「多目的」を「多基準」と記述する文献も有ります。
その他、「多変数(multi-variable)と多変量(multi-variate:統計解析の用語)」など、類似の内容でも分野に依っては表現が微妙に異なる様です。
(注:先ずは「多次元」と考えても大きな間違いは無いと思いますが、この分野で多次元と言う表現を用いた教科書は小数です)。 検証計算で文献を引用する場合には、説明に混乱の無い範囲で原文に準拠いたします。IOSOのGUI表示は「設計変数」を用いています。
- 記号
- 著者に依り様々ですが、下記が多い様に思います。
- 設計変数
- x1 , x2
- 目的関数
- f(x1,x2)
- 不等式型制約条件
- g(x1,x2),またはY1(x1,x2),y2(x3,x4)
- 等式型制約条件
- h(x1,x2)
- 制約条件
-
[s,t g(x)>0 , s.t. h(x)=0]
(“subject to”または“such that”)と略記する論文が多い)。 “while”を用いる論文も散見します。 - 不等式記号
- 特にGUIでは2byte-code の問題が有り、[≤]は[<]で表示されますが、自明と思います。
- 制約条件
- 設計変数の上下限(上下界:Bounding-Box型)も制約条件に含める論文も有ります(側面制約条件:side constraints)。
即ち、
a≤x≤b;例えば、-6.5≤x1≤3.8
の形式です。
IOSOでは目的関数に付帯する制約条件、例えば;
-5≤(2x1-4x1*(x2)2+3)≤6
をGUIでは目的関数と同じレベルで処理します。 従って、このNews-Letterでは、制約関数とはg(x),h(x)を指すものと致します。§2,[2],(2-2)を御覧下さい。 但し、検証計算に於いては元の論文に準拠します。例えば§2, [3], §2, [5]、後掲(予定)のAppendix-[27]を御覧下さい。 - Pareto
- 経済学者であり「富の偏在説」で一般には知られています。
QC(品質管理工学)では、ヒストグラムを集積した折れ線グラフを「パレート曲線」、ヒストグラムとの複合グラフを「パレート図」[4]と言う場合が有ります。
多目的最適化では「パレート曲線」はPareto frontの曲線を指します。従いまして、このNews-Letterでは「Pareto front」を主に用いています。 (「パレート説」の表現方法の問題であり、実際は同じ概念です)
- MDO (Multidisciplinary Optimization)
- 複合領域、境界領域、多分野、多分野融合、多領域、学際領域最適化など、幾つかの邦訳が有ります。
狭義には解像度(巨視化と微視化の融合:multi-scale)の問題も含めて、何等かの意味で連成解析になります。
アプリケーション・ソフトの立場からは具体的に、
『前処理(CAD⇒mesher)⇒ FEM ⇒ CFD ⇒ 後処理』
等を指して、MDOと言う場合も有るようです。 - 凸関数(convex)、凹関数(concave)
- 目的関数f(x)から見て凸、或いは制約条件g(x)から見て凸かは、文面から判断する事になります。数理計画法の教科書の多くは、目的関数f(x)から見て「凸関数」としています。
ORwikiでは更に丁寧に定義し「目的関数から見て凹凸、領域から見て凸凹」の区別をし、下記の如く解説しています。
引用: 《大域最適化》- ORWiki
fが凹関数でDが凸多面体の凹最小化問題(concave minimization problem)の場合、局所的最適解は一般にDの複数の端点に現われる。 - ロバスト設計(ロバスト最適化)
- IOSOの重要な適用分野です。
SiGMA社はRDO(''Robust Design Optimization'')と称しています。(「許容応力設計法」などの決定論的方法に於いて)「予め安全率を大きく見込んだ設計、即ちマージンが過大」と誤解し易い用語です。 (ロバスト設計を実施した結果論として安全率(安全性)は大きくはなりますが)
構造設計に於いては地震荷重など様々な不確定要因を含むものです。
ここでは、確率論を取り入れた方法を指します。 部品や負荷などのパラメーターの中、バラツキ(ノイズ)の有る、(ユーザーには制御できない)不確定要素を含んだ事象に対して、システム全体の応答の鋭敏性を低減し、閾値が偏差の範囲に入る様に設計するものです。
引用文献
-
[1] 大林茂、「第2章 CFDによる最適設計の動向」
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/edge/publications/chap2.pdf -
[2] 徳高 平蔵/大北 正昭/藤村 喜久郎、「自己組織化マップとその応用」
シュプリンガー・ジャパン梶A2007 - [3] 「複雑系」に関しては多数の文献が有ります。
入手し易い文献の中、下記は平易に解説されています。
- (3-1)今野 紀雄、「複雑系―図解雑学 」、ナツメ社、1998
- (3-2)科学シミュレーション研究会、
「パソコンで見る複雑系・カオス・量子―シミュレーションで一目瞭然!」
BlueBacks、講談社 ※ 第5章:「自己組織的集団運動」の項が有ります。
-
[4] パレート図 - wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/パレート図 - [5] 星谷 勝、「確率論手法による構造解析」、鹿島出版会、昭和49年